甲南中学2015年度入試 科目別分析
【国語】
□2015年の入試の全体的な入試傾向とポイント
・配点 100点 試験時間 50分(Ⅰ期午後のみ40分)
・出題内容:Ⅰ期午前a>説明文・同音異義語・漢字のつくり・国語辞典の使い方・作文
Ⅰ期午後>論説文・文学史・俳句・作文
Ⅱ期>随筆・複合動詞・論説文
Ⅲ期>説明文・論説文・漢字・文法総合
<Ⅰ期午前a>
今年は特にですが、甲南のⅠ期は漢字に関する問題が多いです。今年は長文の中から出題されるもの、同音異義語の書き取りに加えて、共通の部首をつける問題が出ていました。このパターンは、甲南では過去あまり出ていなかったので、驚いた受験生も多かったと思います。書き取り、熟語、同音異義語など、出され方は様々あるのですが、直前まで多くの問題に触れて確実に正解できるようにしましょう。
長文の問題に関しては問題数、形式ともに、特に例年と変わったところはありませんでした。記述問題の難しさもあまり変化はしていません。今年の問題は、記述問題が他の受験生に差をつけるポイントになったと思われます。作文も埋めておけばある程度の点数は取れますので、合否の分岐になったのはやはり記述問題で何点取れたかだと思われます。
目標ラインはフロントランナーで80点、アドバンストで65点です。
<Ⅰ期午後>
今年は昨年の問題と比べると、難易度が上がっていました。問題数は昨年の方が多いですが、記述問題や作文といった、時間のかかる問題は増えていました。単純な知識問題が減ったことも踏まえると、Ⅰ期午前と同じ感覚でこの問題を受けると、時間切れになってしまう可能性が出てきます。
中でも、受験生を苦しめたのは作文の問題ではないかと思われます。タイトルを複数から選ぶ形式でしたが、このタイトルに使われていた言葉が難しく、文章を作りにくかったと思われます。文字数も二百字以内に増えていたので、これも受験生を苦しめたかもしれません。共感したタイトルで、内容を短時間でまとめる。これはしっかり練習をして対策をしておかないと、入試当日に焦って、他の問題も出来なくて点数を大幅に落とす結果になってしまう可能性もあるので気をつけましょう。
目標ラインはフロントランナーで70点、アドバンストで60点ぐらいが目安です。
<Ⅱ期>
昨年度から兆しはあったのですが、文章題が二題に増えていました。ただし、一題あたりの文章は短くなっていたので、かえって記述問題のポイントになる箇所が見つけやすくなったと思われます。実際に、三題目の論説文はポイントが捉えやすく、記述問題を解くうえで必要になってくるポイントも分かりやすくなっていました。
逆に一題目の記述問題は内容を踏まえたうえで、自分の言葉でまとめないといけない問題になっていました。ここの問題でどれだけ時間を使わなかったかが国語の高得点につながったと言えます。
二題目の「○○直す」、「○○返す」、「○○上げる」について、各四種類ずつ答える問題が、今回の一番の山場になったと思われます。書き直す、巻き返すなどがすぐに出てきても、四種類ずつ思いつく受験生はそんなにいないと思われるので、思いつかなければ早々に後回しにするのも手でしょう。
目標ラインはフロントランナーで75点、アドバンストで60点ぐらいが目安です。
<Ⅲ期>
昨年から、Ⅲ期の問題も長文が二題になりました。問題の難易度もⅠ期と比べると上がっていたので、赤本などを使って何年分か解いて、自分なりの時間配分を入試までに作った方が良いです。Ⅰ期と同じ感覚で解いていくと、時間切れになる可能性があります。別の学校のテストだと思って対策をしておいた方が本番で良い結果につながるでしょう。
今年の最初の長文問題は、文章を空所補充する問題が三ヶ所連続で出ています。ここがなかなか難しい問題だと思われます。しかし、ここの整序問題が解けていないと他の問題も解けないということはないので、後回しにしてしまうのも作戦としては有効です。後半の漢字と文法の問題は、フロントランナーを目指す受験生は満点を目指しましょう。
目標ラインはフロントランナーで80点、アドバンストで70点です。
甲南中学2015年度入試 科目別分析
【算数】
□2015年の入試の全体的な入試傾向とポイント
・配点 100点 試験時間 50分
・出題内容:問題用紙一枚目には主に、計算問題・一行問題が出題され、二枚目に大問が出題されます。計算問題・一行問題は基本的な問題ですが、大問は、基本・標準から難問まで幅広く出題されます。
図形4問、割合2問、速さ2問、推理と思考2問が出題されました。
<Ⅰ期午前a>
Ⅰ期午前a入試は、基本問題で5割、標準問題まで含めると7割を占めるので、アドバンスト合格点を取るのは難しくはありません。しかし、基本に穴があったり、ミスをしたりすると点が伸びません。したがって、アドバンスト志望者は①計算力および②基礎固めが必要となります。計算問題を解くときは、ただ「解ければいい」のではなくて、「スピード」を意識してください。また、小問は各分野から基本問題が出題されるので、まずは広く浅く苦手分野を作らないようにしてください。
フロントランナーに合格するには、基本・標準問題を手堅く正解したうえで、応用問題まで得点する必要があります。第5問(推理と思考)は現場思考力が必要な問題であまり得点差がつかないので、フロントランナーの合否を分けたのは第4問(図形の移動)です。昨年度からフロントランナーは図形重視の流れがありますので、フロントランナー志望者は図形の攻略がカギとなります。
さらに、Ⅰ期午前a入試では、2009年度から7年連続で「速さ」が大問で出題されています。甲南中学志望者は旅人算、通過算、流水算、速さとグラフ等の分野を徹底的にマスターしてください。
目標ラインはフロントランナーで80点、アドバンストで64点です。
<Ⅰ期午後>
Ⅰ期午前a入試同様に基本・標準レベルの問題で7割以上占められていますが、Ⅰ期午前a入試よりも基本問題の割合が大幅に減って標準レベルの問題が増えています。第1問(計算問題)も一筋縄ではいかない問題が出題されており、算数が苦手な受験生のとっては厳しい試験でした。一方で、第2問(一行問題)は比較的解きやすい問題が並んでいたので、アドバンストの合否を分けたのは第1問(計算)であったと推測されます。
一方、フロントランナー合否のポイントは第3問(図形の移動)でした。この問題は、解答の方針はすぐに立ちますが、” ” を用いたり面積比と相似比の関係を上手く使って要領よく計算しなければ、なかなか正解にたどり着きません。普段から要領よく計算をするトレーニングを積むようにしてください。
目標ラインはフロントランナーで74点、アドバンストで58点です。
<Ⅱ期>
Ⅱ期入試もⅠ期午前a入試、Ⅰ期午後同様基本・標準レベルの問題で7割以上構成されていますが、難問は出題されていなかったのでⅠ期午後入試よりも得点しやすい問題構成でした。一枚目の問題は、ほぼ基本・標準レベルなのでここを手堅く得点できたかどうかでアドバンスト合否が決まったのではないでしょうか。特に第3問(図形の移動)を完答できたかがポイントとなります。
フロントランナーは第4問(立体図形と水)または第5問(損益売買)の小問6問中3問正解できたら十分です。Ⅱ期入試もやはり「図形」がポイントでした。
目標ラインはフロントランナーで74点、アドバンストで65点です。
<Ⅲ期>
Ⅲ期入試はこの年の甲南算数の中では最も得点するのが難しい問題構成でした。基本・標準が5割、応用が5割出題されました。それでもアドバンスト合格者平均60点、フロントランナー合格者平均が84点もあり、各期を通じて最もハイレベルでの決着となりました。
アドバンストに合格するには第1問、第2問をほぼパーフェクトに解いたうえで、第3問以降の問題をどれだけ拾えるかが重要です。大問はいずれも応用・発展レベルの問題のため、アドバンスト入試を念頭においた受験対策では全く歯がたたなかったと考えられます。フロントランナーに合格するのはさらに難しく、この問題で8割をとれるならすでにすでに甲南各期の入試で合格しているはずです。従って、本年度Ⅲ期フロントランナー合格者は他の上位校志望者であったと推測されます。
目標ラインはフロントランナーで84点、アドバンストで64点です。
甲南中学2015年度入試 科目別分析
【理科】
□2015年の入試の全体的な入試傾向とポイント
・配点 80点 試験時間 50分(Ⅰ期午前), 40分(Ⅰ期午後)
・出題内容:物理、化学、生物、地学の4分野からまんべんなく出題されます。
各分野で基礎知識を問う問題と、応用力が問われる問題から構成されています。
他校に比べ記述問題の割合が多いので、文章をまとめる力も必要です。
<Ⅰ期午前a>
2015年度の入試問題も、例年通り基礎的な知識を問う問題と応用力が問われる問題から構成されています。難易度は昨年度とほぼ変わりがないようでした。2015年度は昨年度より応用力や思考力が必要とされる問題が出題されていました。作図問題が出題されなかった代わりに、より多くの記述問題が出題されていたように感じます。甲南の理科は、記述問題が必ず出題されます。各分野において、「なぜそうなるのか」また「なぜそうしてはいけないのか」等を常に考えながら勉強をしておかないと対応することができません。記述問題を集めた問題集を繰り返し説くことや問題の解説を読むことで知識を深めていきましょう。
具体的には地学が川の流れ、物理が振り子、化学が水溶液、生物が植物と環境という問題でした。このうち地学と物理は問題数も少なくほぼ1問1答だったので、比較的簡単だったようです。化学は表の読み取りからの計算と記述の問題で後半の4問はすべて記述でした。今回の問題では最も難易度が高い問題だったと思われます。最後は生物ですが、この問題は知識を問うだけではなく思考力を問われる問題で、この記述で得点に差が出たようです。
目標ラインはフロントランナーで61点、アドバンストで47点です。
解説を読んで知識を深めていきましょう。
<Ⅰ期午後>
昨年同様Ⅰ期aと比べると難易度が高くなっていますが、問題数が少なくなり時間的には多少なりとも余裕ができたのではないでしょうか。ただ、傾向はガラッと変わり今年のⅠ期午前aと同傾向になっております。
昨年度は9割が計算問題だったのに対し今年度は1問も出題されておらず、昨年の傾向で対策をとられていた方の中には戸惑った方もおられるかもしれません。
ただⅠ期午前aの対策をしっかりと取っていれば、できない問題は少なかったようです。内容としては、物理分野は光の問題で作図などをしてみれば簡単に解ける問題だったようです。生物分野は環境とからめての問題でしたが、ここでの記述問題は今まで見た人のほうが少ないと思われ、自分の考えをしっかりと持って解かないと得点にはならなかったのではないでしょうか。今回の問題で1番の難題でした。地学は天気の問題で、グラフをちゃんと読み取ることができるかがカギになっていました。最後に化学分野ですが、気体発生の非常にオーソドックスな問題でした。記述に関しても少し考えれば解けたのではないでしょうか。
その結果Ⅰ期午後は昨年と比べて平均点が上がっているようです。
目標ラインはフロントランナーで56点、アドバンストで51点です。